緑風渚の引き出し

若干ひねくれた大学生が22年の人生の中で思いついたことを書き残してます。

元彼が夢に出てきた話を聞かされる今彼の話

 普段忙しくしている彼女からLINEで「今から会えない?」と言われ、夜のキャンパスを散歩することになった。嬉しいなと思いつつ、小説みたいなことが起こったから話したいと言われ、薄々元彼の話だろうなと勘づいていた。

 少し怯えながら話を聞くと、喧嘩別れした元々彼と偶然再会したようだ。街なかで本当に偶然すれ違って目があっただけのようだ。彼の前を自転車で走っていたおじさんが急に自転車を止めたせい(おかげ?)で彼の自転車も止まり、目があったらしい。

 短編小説みたいな出来事だと言っていたが、確かに偶然性は小説チックだ。それに彼女はちょうどその元々彼のことを考えていた時らしく、とても驚いたそうだ。しかし、私としては目が合っただけで、言葉を交わしたわけではないことから、少し安心した。偶然出会って、お茶することになって、喧嘩別れの和解までしていたらどうしようかと思っていたからだ。

 それよりもそのあとにさらっと言った、元彼が夢に出てきて、それを元彼にLINEで伝えたら「俺も〇〇のこと出てくるよ」って帰ってきたことの方にダメージを食らった。彼女にしてみれば大したことない話なのかもしれないが、夢に出てくるということは、古文の世界では夢に出てきた相手が自分のことが好きという意味だ。それを相手に伝えて、「俺もだよ」と言ったら、それは相思相愛である。いくらなんでもきつすぎる。とても不安になる。元彼とは今も仲が良く、良き友人であることは聞いているが、夢に出てくることを伝えるほど仲がいいとは思わなかった。自分にはそんなLINEは来ない気がする。百歩譲って夢に出てくることはしょうがないが、それを元彼に伝える必要はないし、今彼に言う必要もない。彼女は元彼とのことを隠しているわけではないので、誠実性はあるのだが、本当に僕のことを好きでいるのか不安になる。

 確かに自分も彼女のことが夢に出てくることはほとんどなく、女友達が出てくることの方が多いが、伝えることはない。大抵いやらしい夢だったりするし。確かに恋愛的に好きだから夢に出てくるわけではないが、深層心理ではどうなっているかわからない。

 彼女が楽しそうに話していただけで、悪気もなく、無邪気に話しているだけなので、気にしなくてもいいのかもしれないが、古文の先生のことが好きで、夢に出てきたときに相思相愛かもとふざけて考えていた事と思い出してしまい、一人悲しくなっていた。