緑風渚の引き出し

若干ひねくれた大学生が22年の人生の中で思いついたことを書き残してます。

東京に実家があるという資本

 内定式があるので、官庁訪問、お盆休みに続いて1か月半ぶりに東京の実家に帰省する。

 高3の3月、大学で北海道に進学したいと言った際に、母に「どうして東京に家があるのに地方の大学に通わないといけないの」と言われた。その時は、東京の大学に受からなかったからだよ、と答えた気がするが、母の本音は「家にとどまってほしい」なのだろうと思っていた。

 あれから3年半。札幌で生活し、北海道各地に旅行に行き、地方部の中学や高校に行く機会も多かった。そんな経験をしたうえで、東京に帰ると見え方が変わる。東京の特殊性に気がつく。

 まず人が多すぎる。人口4400人の町に3泊4日した後、札幌で数日過ごし、新宿駅に行ったら、軽いめまいがした。人口減で困っている自治体が山ほどあるのに、なんでここには息苦しいほど人がいるのだろうと。日本全体で人口は減っているし、新宿に人がたくさんいる理由は自分がよくわかっているが、思わず感じてしまった。

 人、カネ、情報、すべてが集まっている。付随して文化や商業もたくさんある。会社(大企業の本社)もたくさんある。就活の選択肢が大きく異なる。東京に憧れる心理が分かった気がする。

 そして、その東京に実家があるということは資本であり、就活におけるアドバンテージだと知った。

 官庁訪問に行ったときにも感じたが、官庁訪問という制度はあまりにも東京圏の学生に有利すぎる。札幌からでは交通費・宿泊費・食費などで最大15~20万円はかかる。最大12日間も東京にいなくてはいけないのだ。東京に実家がある自分は5万円程度で済んでいる。この差は大きい。15万を用意できる学生でないと官庁訪問に参加できないのだ。

 母の言葉の意味が少しだけわかった。東京に家があるとはすごいことなのだ。北関東出身の母は大学で東京に出てきたことを思い出す。帰省のたびに美術館や博物館、庭園に行っていることも相まって、いろいろなことを考えさせられる帰省だった。