緑風渚の引き出し

若干ひねくれた大学生が22年の人生の中で思いついたことを書き残してます。

悪夢

 今日の午前4時。暑さで寝苦しかった僕は、けたたましいカラスの鳴き声に起こされて、なにげなくスマホを手に取り、インスタを開いた。普段はインスタなんてほとんど開かないのに。開いてみると、ある友人のインスタが目に留まった。きれいな横浜のホテルで恋人と誕生日を祝った、そんな6枚の写真だ。

 その瞬間、急に自分の中に嫌な、どす黒い感情が渦巻いたのを感じた。嫌悪。嫉妬。羨望。後悔。劣等感。憎悪。入り乱れた感情が渦巻き、インスタを閉じた。知りたくなかった。知りたくなかった。知らなくていいことを知ってしまった。だからインスタは嫌いなんだ。でも、見てしまったからには、最後まで知りたい。タグ付けされているホテルを調べ、誕生日コースを調べ、値段を調べ、とりあえず満足した。ついでに彼女のインスタも見にいった。ちょっと派手だが、可愛らしい彼女だった。

 他人と比較してたら幸せになれないことなんて自分は良く知っているのに、わかってるのに。他人と比較してしまったことでこんなにも悲しい気持ちになるとは思わなかった。モテる努力をするわけでもなく、YouTubeで時間を浪費するのが得意なくせに、可愛い彼女がいる友人を妬み、羨む。そんな自分に吐き気がした。

 夢ならいいのに。自分のみじめさも、あいつの見せつけるような幸せも。でもどちらも夢なんかじゃなかった。僕はカラスに目を覚まされ、ソファの上でインスタを見ていたのだ。僕は気を紛らわせるために、もう一度布団に戻った。これが悪夢であることを信じながら。