緑風渚の引き出し

若干ひねくれた大学生が22年の人生の中で思いついたことを書き残してます。

青春18きっぷの旅 #1-3(青森-弘前-秋田)

 青森駅で急いで奥羽本線に乗る。扉開閉はボタンだが、音がならないので少し寂しい。通勤時間帯ということもあり、空いてる通勤電車のような雰囲気だ。文庫や新書を読んでいるおじさんが多い。偉いおじさんなのかもしれない。パンを食べられる雰囲気の電車ではなかった。ふと、県庁所在地が青森か弘前かわからなくなってしまった。(正解は青森)

 新青森で新幹線の接続をしていたので、調べてみると新幹線なら15分でつく奥津軽いまべつ新青森間を2時間半かけて移動していることに気がついた。確かに普通の人はしないかもしれない。

 立っていると割と揺れる。空腹と疲弊と重い荷物でついついふらついてしまう。

 日常ではないが日常度の高い電車だ。18きっぱーも見当たらなくなってしまった。疲労感から通勤客と同じような気分になる。車窓は雪景色の山とぽつぽつとある古い建物なので、不思議な感じだ。住宅地が広がっていることはあまりない。

 小熊英二の本で日本人を「大企業型」「地方型」「残余型」の三類型に分けていたが、自分は地方型と残余型のイメージがつかない。田舎町を見ると、どんな仕事をして生計を立て、どのように生活しているか全く想像できない。頑張って想像してみるものの、車が必須なんだろうなという事しかわからない。

 だいぶ暗くなってきた。18きっぷ旅は車窓が見えなくなるとあとは消化試合である。

 地図を見て駅の周りに平地があるとやはり街が発達しており、人も降りることがわかる。幹線道路と並走していれば夜でも車の流れが見えるので、まだましである。青森弘前間の道路は混んではいなかった。

 弘前駅ICカード非対応で、窓口で整理券と一緒に精算している人が何人もいて並んでいた。駅ビルがあり、駅前にはホテルがたくさんあり、飲み屋があり、栄えていた。弘前城には行けなかったので、また次回だ。

 弘前でやっとご飯である。夜定食をしている居酒屋で刺身定食とにんにくのたまり漬けを食べた。疲労と空腹から酒が飲めない。飲んだら秋田にたどり着けない気がした。あと3時間は電車に乗らなければいけないのだ。

 弘前駅の発車メロディが津軽三味線だった。駅メロも旅の楽しみの一つだ。大館駅の発車メロディは聞いたことがあるようなメロディーだった。調べてみると、「ハチ公物語」らしい。

 雨が強く降ってきた。車窓はにじんだ。灯りは踏切の赤と信号機の赤と青しかないほとの闇だ。たまに街に出る。夜の車窓は寂しい。闇の中を走っているようだ。

 改札のない無人駅で降りる高校生は定期券を運転士に見せている。そういえば弘前駅ICカード非対応なので定期券を改札に入れていた。

 途中の駅で高校生が乗ってきた。夜遅い下校だ。21:45。学ラン姿の高校生に驚く。夜ご飯はどうしているのだろう。家につくのは何時ごろなのだろう。車で迎えに来てくれるのだろうか。いろいろ考えてしまった。

 22:01。無事、秋田駅に到着した。秋田駅直結の東横インに泊まる。疲れていたのですぐ寝るつもりだったが、VOD500円を見るかどうかで格闘していた。疲れ切っているし、早く寝て朝観光するという手もあるのに、なぜか寝られないのだ。500円なんて高いことは百も承知だが、何故か魅了される。

 テレビをつけると東日本大震災の報道番組が多かった。あれから11年経ったのだ。

 明日は仙台に向かう。0時には寝た。